2007.08.30 Thu
出会い編 -貴公子編
奈落の花幼少編、出会い其の弐。
にーちゃんでありかーちゃんでありとーちゃんのヅラ編。
にーちゃんでありかーちゃんでありとーちゃんのヅラ編。
銀時が青と出会った―――というか見つけた―――其の日。
二人が共に昼寝をしているところを、在りし日の桂小太郎は目撃した。
「・・・・・・・・・・何だ此の状況は」
ぽつりと呟いてみるものの、誰が答えてくれる訳でもない。
彼は茫然とふたりを見守りながら、如何したものかと首を傾げた。
そもそも銀時を呼びにきたのだが、・・・・此の少女は誰だろう。
此処で何時ものように叩き起こしても良いのだが、騒げば隣で気持ち良さそうに眠っている少女は目を覚ましてしまう。何となく其れは避けたかった。見たところ、2つか3つか、・・・大きく見ても4つくらいの少女だ。
「・・・・・・・・・・」
ふと小太郎の目に、少女の角が映った。
即座に”天人”という言葉が脳裏を過ぎり、複雑な思いが胸中を占める。
天人が襲来して以来、此の国の政治は雲行きが怪しい。
天人さえ来なければ、という声もあり、小太郎自身そう思うところがある。
・・・・何故天人が此処に?
過ぎった疑問に頭を振り、小太郎はなるべく少女に被害が及ばぬよう銀時の頭を叩いた。
ぺしりと景気のいい音がする。
「銀時。おい、起きろ。おい、」
「・・・・・んだよヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。いーから起きろ、飯だと・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・、・・・・」
はたりと小太郎が動きを止める。文句を言いながらもごそごそと起き出した銀時に遅れまいとするように、少女も又目を覚ましたのだ。
ごしごしと擦る眼は透き通るような青色をしていた。益々もって人間らしからぬ少女。
黙り込んだ小太郎の様子を怪訝に思ったのか、銀時は欠伸を零しつつ、首を傾げて問うた。
「・・・・どーしたヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ。・・・・・・・ところでお前、」
「・・・・・・あー」
桂の指す視線の先に未だこっくりこっくり舟を漕いでいる青の姿を認めて、
銀時は「あー、そーゆー事ね」と頷く。
「セイの事か」
「セイ?其の子の名前か?」
「そーそ。俺も良く知んねーけど、松陽先生の知り合いの子供らしいぜ」
「・・・・・松陽先生の?」
そういえば、と小太郎の脳裏にひとりの女性が浮かんだ。
つい先日廊下で擦れ違ったのだ。男物の着物を着込んでいて、屋内でも笠を被っていた。
背の低い小太郎からは其の笠の中身も薄らと見えたが、非常に美しい女性だった気がする。
・・・但し其の女性の額に角が生えていた事がひどく印象深い。何故天人が此の塾に、と思ったが・・・
「もしかしてあの人の・・・?」
「こら、セイ起きろー。昼飯だってよ」
「・・・・・あぅー、・・・・うう、・・・・うん」
むにゅんと頬を抓られて、青が眉尻を下げて唸る。
そして又両手でこしこしと眼を擦ると、よろよろと起き上がった。如何やらまだ眠いらしい。ぽかんとする小太郎を尻目に、銀時はしょーがねーなと溜息一つ、少女の手を引いて歩き出す。
まだ何処かこっくりこっくりとしながらも一生懸命銀時についていこうとする小さな少女の姿が、小太郎にはひどく可愛らしく見えた。
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